相続・遺言

相続の基礎

■相続財産には、何がなるか?
相続財産には、預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金等のマイナスの財産も含まれます。 マイナスの相続財産の方が多い場合は、「故人の死亡を知った時から」3ヶ月以内に、プラスの財産もマイナスの財産も受け継がない相続放棄の手続きをしなければなりません。
放棄によって次順位の者が相続人となりますので、大きな借金が残っている場合には、第3順位の相続人まで、全員が放棄の手続きをしないと、誰かが貧乏くじを引くことになります。

プラスの相続財産 マイナスの相続財産

1)土地・建物・農地・山林・原野等

2)現金・預貯金・有価証券等

3)自動車・美術品・家具・貴金属等

4)借地借家権・地上権・抵当権・貸し金等

5)生命侵害による慰謝料請求権・損害賠償請求権・特許権・商標権・著作権等

1)借入金・住宅ローン・損害賠償等

2)連帯保証・連帯債務

■相続財産とならないものは何?

  1. 祭祀財産(系譜・祭具および墓)は相続財産ではなく、先祖の祭祀を主催すべき者が承継することになります。
  2. 生命保険は受取人に指定された人のものとなり、相続財産とはなりません。(但し、保険金受取人が、故人自身となっているものは相続財産となります。)
  3. 死亡退職金支給規定がある場合、受給者の固有の権利と考えられ、相続財産に含まれません。支給規定がない場合には、相続財産に含まれます。
    ※支給規定があれば、遺族への生活保障的な目的が強く、支給規定がない場合には、故人の功労報酬や慰労としての要素が強くなります。
  4. 死亡保険金・死亡退職金は、「みなし相続財産」とされて相続税の課税対象に含まれます。(但し、死亡後3年を経過して支給が確定した死亡退職金は、遺族の一時所得となります。)

※みなし相続財産とは、相続税の算定の際には、相続財産とみなされるものをいいます。

■誰が財産を引き継ぐのか

相続とは、人の死亡により、その故人が持っていた財産上の権利を、一定の人に引き継がせることです。有効な遺言書があれば、遺言によって指定された人に最優先の権利が生じます。
遺言がない場合、一定の親族に一定の割合で財産を受け継ぐ権利が認められています。この人たちが「法定相続人」と呼ばれる人たちです。


■相続できる割合はどのくらい

誰がどれだけ相続するかは、まず第一に被相続人の意志によって決められます。つまり遺言による指定があれば指定相続分が優先します。

相続分の割合は、それぞれ2分の1です。子が数人の場合は、2分の1をその人数で等分します。ただし、非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1です。配偶者がいない場合は、子が全額となります。
(非嫡出子とは、内縁関係など法律上の婚姻関係にない男女間にできた子どもです。)


●第2順位 親(直系存続)と配偶者が相続人の場合

配偶者の相続分が3分の2、直系存続の相続分が3分の1です。ご両親が健在の場合は、3分の1を等分します。配偶者がいない場合は、親が全額です。


●第3順位 兄弟姉妹と配偶者が相続人の場合

配偶者の相続分が4分の3、兄弟姉妹の存続分が4分の1です。兄弟姉妹が数人の場合は、4分の1を等分に分けます。ただし、半血の兄弟姉妹は、全血の兄弟姉妹の相続分の2分の1です。
(半血の兄弟とは、両親の一方を同じとする兄弟です。)


以上が、基本的な法定分割割合の内容です。相続人の人数や組み合わせによって、分割割合が決まりますので個別のケースで見てください。

また、遺産分割協議書を作成することにより、法定相続分と異なる相続割合を決めることができます。

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相続の種類

相続財産には、現金、不動産、預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれることになります。そのためマイナスの財産がプラスの財産を超えてしまう場合には、相続人が借金などの債務を返済していかなければなりません。
相続人が被相続人の借金で苦しまないように、民法では3つの相続の方法が用意されています。

1)単純承認

最も一般的な相続方法で、被相続人の財産の全てを継承する方法です。この場合は特別な手続をする必要はなく、相続開始後3ヶ月以内に他の手続をとらなければ、自動的に単純承認をしたものとみなされます。しかし、被相続人にマイナスの財産がある場合には、その借金を遺産の中から優先的に債権者に支払わなければいけません。

2)相続放棄

被相続人の財産を放棄し一切の財産を相続しない方法です。被相続人の遺産よりも借金の方が多い場合には、この方法を取るのがいいでしょう。相続人が被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出し、それが認められれば相続人ではなくなりますので、被相続人の負債を負わされることはありません。
※第1順位の相続人が相続を放棄した場合は、第2順位、第3順位へと相続人が代わりますから、場合によっては相続人になる全ての者が相続放棄をする必要があります。

3)限定承認

プラスの財産が多いのか、マイナスの財産が多いのかが分からないようなときに有効な相続方法です。相続で得た財産の範囲内で借金を返済するという条件で相続を承認する方法です。仮に財産を清算した結果、借金だけしか残らないような場合でも、不足分を支払う必要はありません。逆に、借金を返済して財産の方が多ければ、差し引いた財産については取得することができます。
限定承認の手続は、相続開始を知った時より3ヶ月以内に、家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出して行います。
※限定承認はメリットがあるように思われますが、非常に手間と時間がかかる上、法定相続人が複数いる場合には必ず全員で手続をしなければならないことにも注意が必要です。

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遺言書について

遺言書は大きく分けて、普通方式と特別方式の2つがあります。普通方式による遺言には3種類、特別方式による遺言は4種類あります。
特別方式による遺言は、使われることはごく稀となっています。

■普通遺言書の種類

●自筆証書遺言
最も簡単な遺言書の方式で、費用をかけずに作成することができます。証人が不要なので、作成やその内容について秘密にすることができますが、法律の定めに違反していたり、内容があいまいな場合には遺言が無効になる場合があります。 また、遺言書の紛失や、発見者に遺言書の存在を隠されたりする可能性もあります。
自筆証書遺言は必ず家庭裁判所で検認を受けなければなりません。その際、各種書類を取り揃え、相続人または代理人が出頭しなければならないので、遺言書の作成は楽でも、その後の処理に手間がかかります。

●公正証書遺言
公証人が遺言者から遺言の内容を聞き取って、公証人が作成する方式です。遺言が無効になることや、偽造のおそれもありませんので、相続開始の際に家庭裁判所の検認も要りません。また、原本を公証人役場で保管するので紛失しても再発行してもらえます。
公証人役場の手数料と、作成の際の証人が必要になります。

●秘密証書遺言
ほとんど使われることはありませんが、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に使われます。内容は秘密にできますが、作成後にそれが秘密証書遺言であることを公証人と証人に証明してもらわなければなりません。

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■特別方式の遺言

●一般危急時遺言
危篤になって、遺言の必然性が差し迫っているときにできます。証人が3人以上いれば、危急時遺言が可能で、危急時かどうかの判断は家族に任されています。

●難船危急時遺言
船舶の遭難で死亡の危急時になった場合の遺言です。一般危急時よりも事態が深刻なので、条件は一般危急時よりも緩やかになっています。

●一般隔絶地遺言
伝染病に侵されているため、行政処分により交通を絶たれた場所にいるような場合に遺言ができます。この場合、隔絶地にいるため秘密証書遺言と公正証書遺言はできません。よって簡易な方式である自筆証書遺言を認めています。

●船舶隔絶地遺言
船舶中であることが条件でできる遺言です。船舶は、海洋を航行する船舶に限られますが、航海中か停泊中かは問われません。一般隔絶地遺言と同様に簡易方式となっています。

※ 遺言の冒頭にも記載しましたが、これらの遺言方式はほとんど利用されていないのが現実です。

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■遺言書の効力

相続が発生した場合、遺言書があるかどうか確認することになります。
なぜ、遺言書を確認しないといけないのか?
それは、亡くなった方が生前に遺言として残された意思は遺言という形で実現できるように法律で規定されているからです。
つまり、遺言書がある場合にはまずは遺言の内容が最優先されるということです。
法定相続人の相続分の割合を変えたり、財産の分配方法を特定したり(土地は誰々に、株式は誰々にといった具合)で、必ずしも民法の規定通りにはなっていないことが多いのが実際です。
遺言者は自分の意思通りに財産の分配を決めることができるのです。

遺言書がないだろうと思って遺産分割協議をした後に、遺言書が出てきた場合には、手続きをやり直さなければならないことがあります。
つまり、自由な遺産分割協議は控えなければならない場合があります。

【遺言書がある場合の相続人の効果的対処法】

では、遺言書が出てきた場合には具体的にはどうすればいいのでしょうか?
必ずすべきことは下記の通りです。

※検認とは、遺言書の偽造や変造などを防ぐために、裁判所で遺言書の現在の状況を確認することです。

※遺言執行者とは、遺言書に書かれたことを実際に実行する人のことをいいます。

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■相続人からの理解が得られない場合

遺言書の通りに相続財産の処分が円満に進めばいいのですが、相続人の中にはどうにも納得いかない人がいるケースが間々あります。
法律で決められた相続分などを変更するために遺言書を書くわけですから、相続財産を得られる人、得られない人、また、相続財産を得られる内容が、減る人、増える人がどうしても出てきます。そして、その内容に納得いかない人がいるわけです。
では、納得のいかない人は、どうしたらいいのでしょうか?

相続人の意思を尊重されたい方はあきらめるのも一つの選択です。
あきらめたくない場合の手段については数多くの方策がありますが、代表的な方法をご紹介いたします。

遺留分減殺請求権を行使する方法があります。ただし、この方法は万能ではありません。

この権利は遺言の内容が相続人の慰留分を侵害しているときに限り認められる権利だからです。

法律は一定の相続人に対しては、遺言をもってしても奪うことのできない相続人の取り分を用意しているのです。それを、「遺留分」といいます。

遺留分にあたる取り分すらもらえない一定の相続人に限り、「遺留分減殺請求権」を行使できるのです。これにより、遺留分に限り取り戻すことが可能になります。

ほかにも、手段はありますが、基本は遺言書の内容に納得がいくかどうかということと、正当な権利を実現する法律上の手段はあるかということから考えて対処するようにしましょう。

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